インタビュー#捺染機の搬送水のリサイクルについて

インタビュアー:Oさん
回答者:Tさん
ー 本案件の最初の経緯を教えてください
取引のある代理店さんから引き合いをいただきました。
廃水処理をやっていらっしゃるメーカーさんで、得意とされているのが薬剤処理です。
今回のお客様が地域協定で、 どれだけ水をきれいにしても、排水ができないというようなお客様でした。
その代理店さんが得意とされている薬剤処理では、処理水に残留する無機塩の影響で再利用できないのが一般的な常識です。
しかし、弊社の得意とするUF膜装置は化学処理ではなく、物理ろ過ですので、 無機塩の残留がなく再利用することができます。
『水をきれいにして放流するのではなくて、工程に戻して再利用しましょう』 と提案したのが始まりですね。
ー 捺染機とはどのような機械でしょうか?
捺染機は、いわゆる布用の印刷機みたいなものです。 その中に水槽みたいなものがあります。
インクのカスや、布の糸切れが水に溶け込んでだんだん汚れていきます。
その水槽に常時、水が供給されて、オーバーフローした水が廃水になります。
これを弊社のUF膜装置で濾過濃縮を行い、 処理水をもう一回水槽に供給し印刷するときに再利用する。 捺染機とUF膜装置をぐるぐると循環させながら水を再利用しています。
ー 紙の印刷と違うところは?
あまり生産工程は詳しくないのですが、紙の印刷やダンボールの印刷は、 いわゆる印板があり、スタンプみたいなイメージです。インクを印版に塗布し印刷物に押し付けて印刷をするという感じです。
布の場合はデジタル印刷なので、データを印刷機に取り込んでプリンターみたいな感じで印刷にしていくのが大きな違いかなと。
ー 捺染機の搬送水とは?
捺染機のメーカーのE社に捺染機の動画が載っているんですけど、捺染機の機械で布にインクを転写している下の部分がロール状になっていて、このロールの下部に水槽があります。
搬送水は捺染機の下部やロール部分の洗浄をしている水です。
ー その洗浄した水をリサイクルして、水槽にまた戻っていくんですね。
そうです。印刷機の下に約500Lの水槽があって、印刷時は常時水を供給します。
通常、2L/分を供給するので、当然オーバーフローで2L/分の廃水が発生します。
この廃水を UF膜装置で処理し、処理水を再度水槽に供給します。

多少の時間差はあるものの、水を供給・排出・処理・再利用するサイクルが連続的に回っている構成になっています。
もちろん、捺染機への供給が途切れてしまわないように、レベルセンサーで監視し、渇水時は水道水が入るようなフローにしています。
また、再利用水は基本的に循環で使用するため、水が劣化します。
現状の検証だと、1か月半程度再利用すると印刷に使用するグルー剤(接着剤のようなもの)の劣化が確認できたので、一定期間で更液を行っています。

ー UF膜処理装置の納入前はどうされていたのでしょうか?
納入前は、全量産業廃棄物処理をしていました。
当時は地域協定で排水が不可能なので、お金を払って廃水を廃棄していました。
ー 産廃になっていたということですね。 以前のインタビューでは、産廃処理に人手がすごくかかっていたというのをお伺いしたのですが、この件ではどうでしょうか?
今回のお客様は、捺染機から出てきた水がピットに入り、ある程度の水位になったら産廃業者を呼んでローリー車で廃水を吸うだけなので、産廃処理にはそんなに手間がかかっていなかったです。
ー では、改善されたこととしては、水を廃棄物に出さなくて良くなったということで、コストの方がかなり削減されたことでしょうか?
そうですね。まだ納入して数ヶ月なのでフィードバックが得れていないですが、計算上、 月のコストが90万円かかっていたのが37万円まで減ります。年間で約630万円のコストメリットが出る試算です。
ー 現場の方の反応はいかがですか?
コストが減るので当然喜びますよね。
まだ納入して数ヶ月なので現場の人はまだよく分かっていないところもあり、何か不明な点や異常が発生すると電話でサポートさせていただいています。
前回のインタビューでも申し上げているかもしれないですが、弊社の装置は手間がかからないので、オペレーターの方も少しずつ覚えていただくので、その内問題はなくなるかと思います。
ー 普通の水と、再利用した水の違いを教えてください
当然水道水と比べると汚い水なので、ずっと再利用を繰り返すと液が劣化します。
どこを基準にもう使えない水だというのを判断するのかというのが難しいのですが、ここのお客様の場合は、グルー剤の劣化具合で判断しています。
印刷機の搬送部分にグルー剤(接着剤)を塗っていて、そこに布がピタッと張り付くことで、シワが生まれることなく印刷できます。 グルー材は通常の水道水だと5時間くらいで劣化します。 つまり、5時間は連続で印刷できるということですね。再利用水にも同等のレベルを求められました。
デモ機での試験の際に、膜洗浄用の洗浄剤の選定や濃縮倍率の変更し、検証を行いました。最終的には5時間の連続稼働が確認できました。
ただし、循環利用による水の劣化はありますので、現状1.5か月程度で更液を行い、液のリセットを行っております。季節要因も考えらえますので、今後も更液頻度には注視してアフターフォローを行いたいと思います。
ー ありがとうございました
このインタビューの製品

UF膜処理装置
UF膜による廃水処理とは、廃水を微細孔径を有すUF膜モジュールに直接通液して物理的な濾過を行う方法です。
廃水は、膜面を通過した「透明な処理水」と通過しない油分等の「廃水成分」に分離されます